ワンさんの 口白釣行記
2010年11月5日、長年憧れた伊豆の鵜渡根群礁へ釣行しました。
ここはとても荒れる海で、余程の凪と希望者が集らないと行けない「絶海の孤島」です。
下田を出港、夜明けに鵜渡根へ到着し、カツオ根、フヅシ根と順に瀬渡しが始まりました。
磯は山のように直下立って険しく男性的で、周りの海はゴウゴウと潮がウネリ、紺碧な海全体が動いています。
ようやく船長から声がかかり、若いがベテランで焼津在住の内田さんと二ツ根に渡りました。
二ツ根は周りと異なる低い二つの磯で、沖の高島向きの船着き場を釣り座としました。
背後の低い磯からウネリによる寄せ波がかけあがるため注意が必要です。
竿下は20mくらいで竿一本半に沈み根があり、その先は25mから徐々に深くなっているようです。
まず、竿下から始めウニガラを半分撒き、ヤドカリからスタートです。
すると、いきなり竿がコン・・ゴン・・ギュイーンと突っ込み、心地よい引き込みをみせ第一投で2kgの石鯛が釣れてしまいました。
さすが秋の二ツ根!今日は入れ食いかと期待しますが、その後はエサトリばかりで底物の力強い当たりはなくなり、
竿先の沈み根への根掛かりばかりで悪戦苦闘しました。
潮は始め沖の高島からの緩い当たり潮で雌の石鯛が釣れ、その後は背後からの裏潮となったため全く釣れなくなったのです。
しかし、私の右側つまり沖側に釣り座を構えた内田さんの位置では、
背後からの潮がケンミとなり、昼まで間断なくイシガキの1〜1、5kgが6枚釣れました。
昼となり諦めかけた12時すぎ背後からの潮が変わり始め、右側から左へ、さらに沖の高島から正面へ。
チャンス到来とばかり、目立つようガンガゼウニの2個丸掛けに変え、竿下へ入れました。すると暫くして
チョンチョンヴワーン!!
!竿先が一気に海中へ突っ込み、戻らずに竿の根元から曲がりキィーン と糸鳴りがして揉み始めました。
いまだ!! 竿をピトンから外し、思い切り合わせたのですが、引き抜く余裕がなく、肩の高さで止まってしまい、
何と3mほど竿ごとズルズル引き摺られてしまいました。
やっと磯際で腰を落としヴウーッと堪えました。
しかし先手を取られたままで潜水艦のように勝手にグググーッ と右側の沖に走られ、
カンカンに締めたドラッグから糸が少しずつゆっくりと出て行くのでした。
隣りの内田さんは大物と直感し、すぐに自分の竿を上げ、私の竿の伸び切った尻手ロープを外し、
「腰を落とせ!、いまだ巻け!右へまわれ!」と的確なアドバイスをくれます。
カウンターで50m出たところで沖へ走る力が弱まったので、ドラッグを締め、勝負に出ました。
磯に腰を下ろしリールを巻きはじめたところ、さらに右へと磯際へ潜り、糸が磯にスレ、さらに磯に張り付きビクともしません。
そこで竿を下げ一旦糸を弛めた後、渾身の力で竿を引き上げるとゆっくりと上がり始め、糸を巻くことが出来ました。
内田さんが自分のタモを構え、「あと何メートルだ!」と叫びます。
そこでカウンターを見て「25メートル!」と息も絶え絶えに答えます。
もう体力の限界?必死でポンピングしました。ガバーッと魚が浮きました。
大きな白いクチバシが見え、余りに魚が大き過ぎてウネリがあるためタモの中におさまりません。
何度となく失敗した後やっと入りました。
「ヤッターァ!」 と叫び、内田さんと握手です。
タモごと魚を受け取ってからは全身の力が抜け、その場にへたり込んで暫く動けませんでした。
クチジロは74、2センチ、7、7キロありました。
後で調べてみると、37番24cmハリスのワイロンは黒色ビニールコーティングは剥がれギザギザに、
36番2mのだいかつ瀬ずれワイヤーの赤色コーティングはグルグル巻きによりが入って所々摺りきれていました。
良く耐えてくれたものだと感謝しています。
岡崎のワンさんです、立派な口白ですね